第7回 受賞作品

かえりみち ~夕暮れの主計町

ぺんちゃん(石川県)

 主計町は「かずえまち」と呼びます。私が暮らす石川県金沢市の浅野川沿いにある町で、このあたりは昔ながらの古い建物が並んでいます。夕暮れになると、木虫籠「きむずこ」と呼ばれる格子窓から、三味線の音が聞こえてきたりもする情緒ある町並みです。
 私は高校の総合の時間で、大好きな金沢町屋の研究をすることを選んだのですが、木虫籠「きむずこ」は、金沢の町家の特徴である格子の幅が細かい<出格子>を指す言葉で、赤色の顔料を用いたことから「弁柄格子」とも呼ばれるそうです。この辺りは細い石畳の道沿いに、その赤い格子が立ち並んだ建物が多いので、歩きながら見るのが楽しく、とても雰囲気があります。
 正式な木虫籠は、一間幅に70本以上の竪子が入り、その断面は台形になっていて、外側の見付が広くなるように配置されているそうです。そうすることで室内から外はよく見え、外から室内は見えづらくなるという、見た目の美しさだけでなく、機能面でも優れています。
 また、約20年前に全国で初めて旧町名が復活して、主計町となったそうです。これからもずっと大切に残していきたい風景です。

【審査員コメント】

夕暮れの風景を見事に切り取った1枚。
出格子はこの地域では木虫籠(きむずこ)と呼ばれているようだが、そこに家路に向かって帰る影が優しく写っている。
石畳の道を優しく見守るような古民家はその家路に帰る人々をも優しく見守っているようである。

歴史の流れ道

ぽてぃとぅ(富山県)

右側に現代の建物、左側に歴史的な建物が建っている街並みで撮影をしました。
古くからあるこの建物が時代の流れをずっと見つめてきたような雰囲気を感じられると思います。

【審査員コメント】

この空の色は何色と言うのだろうか。空の色が効果的に建物を印象付けており、建物の白い窓枠がひときわ印象的である。
空に垂れ下がる電線が現代を感じさせるがあえてこれがあることで今の写真だと理解できる。
カーブを描きながら奥に伸びる道にはどんな人々が今まで歩いてきたのか想像を膨らませずにはいられない。

Hiro(埼玉県)

伝統的な建物が立ち並ぶ東山区で撮影しました。
瓦屋根を持つ木造の民家の奥には、飛鳥時代から続く法観禅寺に建つ五重塔があります。落雷や地震で何度も焼失をしたものの再建と修復を繰り返して現在に至っているようです。
何百年も前からたくさんの人々の地域を思う気持ちがこの街には受け継がれているのだと感じられる1枚です。

【審査員コメント】

京都の東山地区は多くの外国人が訪ずれる観光地である。
この坂道から見える法観禅寺の五重塔が望める写真の撮影スポットだと思うが、普通は多くの観光客が写り込んでいるところ人が写っていないのが逆に新鮮。
人が写り込まないことでタイムスリップしてまるで飛鳥時代にいるように感じる。撮影時の苦労が伝わってくる。

アーケードの中に佇む

蔵科 律子(岐阜県)

アーケードの中に佇む古民家。
昔から行商と客のやりとりを見守ってきたのであろう。

【審査員コメント】

アーケードに吊り下げられているのは七夕飾りであろうか。
七夕といえば仙台が有名だが、全国各地にこの七夕飾りはある。少し寂しい七夕飾りがこの商店街の活気を物語る。
昔はもっと栄えた商店街だったのだろうが、今は少し寂しげである。その中でこの場所で昔からこの行商さんはお店を広げていたのだろう。常連のお客様とどんな話に花を咲かせているのか、商店街は少し寂しいが、この店先だけは活気がみなぎっているのだと思う。

うだつのまち

フジモン(岐阜県)

岐阜県美濃市のうだつの上がる町並み。観光地になっていて普通の暮らしが無いと思って訪問してみたら、古民家で暮らす普通の生活がありました。観光客と地元の人々で古民家を残していく、そんな方法もあるのだと実感した夏の日の様子です。

おじぃーおばぁーと住んでみたい

宮レナ(沖縄県)

この写真を撮る時に、この自然に囲まれた家に住んでおじぃーおばぁーとお茶しながらゆんたくしたいと思い写真を撮ってみました。

世界遺産がある古民家の小路

taku(神奈川県)

厳島神社および弥山(みせん)原始林が1996年にユネスコの世界遺産に登録されている厳島(宮島)の古民家が立ち並ぶ小路。
住人の方々に「おはようございます」と挨拶をすると「おはようございます。今日も暑いね。」と会話が弾み、なんだかほっとする気持ちになりました。

お城みたいな家

りあちゃん 2年生(福岡県)

家族でよく遊びに行く うきは市の白壁通りにスケッチに行きました。
「昔話に出てくる家みたいだね!カッコイイね!」と言いながら一生懸命描きました。

【審査員コメント】

まるで空にそびえ立つロボットのようにも見えるし、人の顔のようにも見える。
瓦葺きの屋根やなまこ壁の特徴などもよく捉えられている。まさに昔話に出てくるようなお殿様のお城か庄屋さんの豪邸か、カッコイイ!

本と森と水の街

はなえちゃん 4年生(福島県)

わたしは、本や自然などがすきなので、この絵をかきました。

【審査員コメント】

手前に書かれた淡い木と、奥に書かれた緻密な街並みとタッチの違いが新鮮な絵です。
おとぎ話の中のシーンが頭に思わず浮かぶイマジネーションの広がる物語のある絵。空に浮かんだ青い球体は雲なのか、水の玉なのか、これからどんなお話がこの絵の中で繰り広げられるのか、木のそばに置かれた本を取り出したいと思ってしまいます。